
食洗機を開けた瞬間、なんとも言えないイヤなニオイが立ちのぼってきた経験はありませんか?
せっかくの便利な家電なのに、使うたびに気分が下がる、、、。そんな不快感の原因のひとつが、意外にも見えにくい場所に潜んでいることがあります。
それが、食洗機の底にあるヒーター部分の焦げ付きです。
食べ物のカスや油汚れ、洗剤の残りがこびりつき、熱で焼きついて黒ずんだあの部分。放っておくと悪臭だけでなく、機械の性能低下、さらには安全面にも影響が出る可能性があります。
とはいえ、家電の中のヒーターなんて触っていいの?と思う方もいるでしょう。
この記事では、取扱説明書の注意点を守りながら、一般の方でも安全にできる掃除方法を解説します。
なお、メーカーによっては推奨していない掃除方法もあるため、必ずご自身の機種の説明書を確認し、推奨されている方法を優先してください。
食洗機の異臭の意外な原因はヒーターの焦げだった
食洗機で発生するニオイの原因としてよく知られているのは、排水口のつまり、フィルターの汚れ、残さいトレイのカスなどです。
しかし、それらを掃除してもニオイが取れないという場合、見逃されがちな「ヒーター部分の焦げ」が原因かもしれません。
ヒーターは食器を乾燥させたり、お湯で洗浄したりする際に使われる金属製の加熱部品です。
このヒーターに、食器に残った油や食べカス、洗剤カスなどが繰り返し付着し、高温で炭化することで黒くこびりつき、加熱時に独特の焦げ臭を放つようになります。
さらに、この焦げは単なる汚れではありません。
湿度と熱によって、細菌やカビの繁殖環境になりやすいという一面もあります。見た目には気づきにくく、掃除の対象として意識されづらいため、蓄積しがちです。
だからこそ、異臭がするなら「ヒーター部分も要チェック」と覚えておいて損はありません。
なぜ焦げる?主な原因は3つに集約できる

焦げ付きが起こる原因にはいくつかありますが、主に次の3つが多く見られます。
1つ目は、予洗い不足です。
とくにご飯粒やソース、揚げ物の衣といった油分の多い食品がそのまま入っていると、ヒーターに触れて焼きつきやすくなります。
記事によっては「タンパク質がにおいの原因」とされることもありますが、実際には脂質が加熱されて酸化することで強いにおいを発するケースが多いです。
2つ目は、洗剤のカスや水道水のミネラル分です。
水に含まれるカルシウムなどの成分が、ヒーターに付着して固まりやすくなり、そこに油やカスが加わることで焦げが発生しやすくなります。
3つ目は、メンテナンス不足です。
定期的な庫内洗浄を怠ることで、少しずつ汚れが蓄積し、焦げ付きに発展してしまいます。使用頻度が高い家庭ほど、月に1度など定期的なお手入れが重要になります。
焦げ付きを放置するリスクは、予想以上に大きい
ヒーターの焦げを「見た目だけの問題」と軽く考えるのは危険です。いくつものリスクが潜んでいます。
まず、悪臭の悪化です。
焦げた汚れが再び加熱されることで、毎回使用時にニオイを放ち、食器にも臭い移りすることがあります。
次に、衛生面の問題です。
焦げ部分にカビや菌が繁殖すると、清潔さが損なわれます。
高温で加熱されるとはいえ、汚れの中で増殖した菌の一部は完全に除去できないこともあります。
そして最も見逃せないのが、安全性への影響です。
焦げが蓄積することでヒーターの加熱効率が下がり、過剰に温度が上昇することで火災リスクに繋がるケースも実際に報告されています。
あくまで稀な事例ではありますが、安全に関わる部分である以上、注意を払っておくべきです。
掃除前に必ずチェック!安全に作業するための基本準備

ヒーターは電気で加熱される家電部品です。
掃除を始める前に、必ず以下のポイントを確認してください。
まずは電源プラグを抜くこと。感電や誤作動を防ぐための基本中の基本です。ブレーカーを落とすとなお安心です。
次に、庫内とヒーターが十分に冷えているかを確認します。うっかり熱い状態で触れてしまうと火傷の危険があります。
また、掃除に使う道具も事前に準備しておきましょう。おすすめは以下のとおりです。
- 柔らかい布またはキッチンペーパー
- 食器用中性洗剤(※説明書で推奨されているものを優先)
- 古い歯ブラシやメラミンスポンジ(ただし、強くこすらない)
- 水を含ませた布
- 乾いたふき取り用の布
※重曹やクエン酸を使った掃除法も見られますが、機種によっては使用が推奨されていない場合があるため、必ず取扱説明書を確認してから使用してください。
ヒーターの焦げを落とす手順は意外とシンプル
掃除の方法は難しくありませんが、力を入れすぎたり、部品を無理に動かしたりしないことが最大のポイントです。以下のステップで慎重に進めましょう。
- 焦げの場所をよく観察します。黒くなっている部分、ベタつきがある部分を確認しましょう。
- 汚れが気になる箇所に、中性洗剤を薄めた液をスプレーし、5~10分程度放置します。焦げが柔らかくなるまで待つのがポイントです。
- 古い歯ブラシやメラミンスポンジで、優しくこすります。決して力を入れてはいけません。ヒーターを傷つけると故障の原因になります。
- 汚れが取れたら、水を含ませた布で洗剤と汚れをしっかりふき取ります。仕上げに乾いた布で水気を取り除いてください。
※なお、分解することは非常に危険です。内部の配線やセンサーに影響を与える可能性があるため、絶対に行わないようにしましょう。
掃除後は「仕上げ運転」で安全性と清潔さをチェック

掃除が終わったら、必ず仕上げ運転を行ってください。
これは、拭き残した洗剤や落としきれなかった汚れが残っていないかを確認する大事な作業です。空の状態で通常モードか、庫内洗浄コースで1回運転すると安心です。
また、今後の焦げ付き予防には次のような習慣が効果的です。
- 食器を入れる前に軽く予洗いをしておく(特に油や米粒は要注意)
- 月1回程度、説明書にある庫内洗浄コースを使って全体をリフレッシュ
- 食器の入れ方に注意し、ヒーターに直接触れないように配置する
これらを守るだけで、焦げ付きの再発を防ぐことができます。
まとめ:焦げ付き掃除は、安心と快適さへの第一歩
焦げ付きの掃除は、手間がかかりそうに思えても、実際にやってみると意外とシンプルです。
何より、ニオイがなくなり、清潔な庫内で食器が洗えるようになることは、想像以上に快適な体験です。
焦げを落とすことは、単に見た目をきれいにするだけでなく、家族の健康と安全を守るための大切な行動でもあります。
まずは、この記事を読んだ今日から、ヒーター部分をそっと覗いてみてください。
気になる汚れがあったら、無理なくできる範囲から少しずつお手入れを始めましょう。清潔なキッチンは、心まですっきりさせてくれます。
