神輿を担ぐことは、どんな意味を持つのでしょうか?
何か特別な理由があるとは思いますが、しっかり説明される機会はないですね。そこで今回は、神輿を担ぐことが持つ意味や実際に神輿を担ぐことになった場合のポイントやコツについてまとめました^^
神輿を担ぐにはどんな意味や理由がある?
「神輿を担ぐ」の「神輿」ですが、これは「みこし」と発音され、「御輿」とも表記されることがあります。
この「御輿」もしくは「神輿」という用語は、本来、皇族や神々が搭乗するための特別な運搬具を指します。
皇族に使われる際は「御輿」、神社の神々が用いる際は「神輿」と表されることが一般的ですが、現代ではどちらの表記を用いても間違いではないとされています。
令和元年の改元と共に行われた「即位の礼」が多くのメディアで取り上げられた際には、天皇と皇后が使用されたのは、まさに皇室用の「輿」でした。
多くの人が記憶しているように、この時の「御輿」には「鳳凰」や「麒麟」といった華やかな装飾が施されていました。
一方で、一般的に親しまれているのは、神々が乗る際に用いられる「みこし」でしょう。
多くの人々が、幼少期や大人になってからも、自分の住む地域の神社の祭りで神輿を担いだ経験があるはずです。
「ご神体」とは、神の霊が宿るとされる神聖な対象物を指します。
普段は神社に祀られている神々ですが、祭りの際には「御輿」に乗って街を巡り、災厄を払い幸福をもたらす役割を果たします。
この神々を運ぶ「輿」を担ぐのは、地域に住む氏子たちで、日頃からその加護を受けている人々です。
そして、この祭りでの「神輿」の慣習は、日常生活においても「他人を称賛し、高める」行為を「神輿を担ぐ」と表現するようになりました。
神輿を担ぐことのはじまり
「神輿を担ぐ」という表現の起源を掘り下げてみましょう。
現代においても、お祭りの際に神輿を担ぐ習慣は続いていますが、日本が狩猟社会から農耕社会へと移行した過程で、春に行われる豊作を願う儀式や秋の収穫を終えて山の神を祀り直す感謝の祭りが存在していたとされています。
また、漁業が盛んな地域では、海神への豊漁を願う儀式があり、男性たちが神輿を海辺から海へ向けて担いで行く風習も見られます。
古くは、神々が遥か彼方、例えば天界や海の向こうに存在するとの信仰があり、神を迎えるために一時的な社を建て、神が去る際にはそれを解体する習慣がありました。
時が経つにつれて、人々は神々が常に自らの側にいてほしいと願うようになり、この思いが神社の設立へとつながりました。
そして、神社が確立された後も、年ごとの豊作や収穫後の感謝を神に捧げる伝統は残り、神社の神々を神輿に乗せて街を巡る祭りが行事として根付きました。
今日では、「神輿を担ぐ」という言葉は、文字通りの意味を超えて、他人を称賛し、特定の地位に押し上げるために用いられる慣用句としても広く使われています。
このように、神輿を担ぐ行為は、古代の信仰や習慣が現代の言葉や文化にどのように繋がっているかを示しています。
神輿を担ぐ人になるには
神輿を担ぐ方法は大きく2つに分けられます。
- 知り合いからの紹介で参加する
- 地域で掲示されている募集広告に応募する
まず1番目の方法は一番簡単です。
もし神輿を担いでいる友人や知人がいれば、その人を通じて参加を申し出るのが早道です。
しかし、参加者が多い神輿の場合、人数制限があるため、すぐに参加できるとは限りません。無理なお願いは避けましょう。
2番目の方法は、地域の掲示板などに貼られている募集広告に応募することです。
地域によっては、その地域の住民や働いている人限定の募集もありますが、担ぎ手不足のために地域外からの参加者も歓迎することがあります。自分の住む地域外での参加も一つの選択肢と言えるでしょう。
神輿を担ぐにあたり覚えておきたいこと
お神輿を担ぐ機会が訪れた際に覚えておきたいポイントを紹介します。
神輿担ぎには、参加する前に知っておくべきルールやマナーが存在します。
途中で勝手に離脱しない
神輿担ぎは体力勝負です。途中で休憩したくなっても、勝手に離脱するのは厳禁です。
自分の担いでいた重さが他の参加者に移り、神輿のバランスを崩す可能性があります。離脱する際は、周りの人に代わりを探してもらい、スムーズに交代しましょう。
長時間担ぎ過ぎない
神輿担ぎは楽しいですが、ずっと担ぎ続けるのは周りへの配慮に欠けます。一定時間担いだら、他の人に機会を譲るようにしましょう。
担ぐには費用がかかる
神輿担ぎには特定の衣装が必要で、その衣装は地域によって異なります。
半纏や帯は貸出されることが多いですが、クリーニング代として一般的に500円から1,000円が必要です。
その他の衣装は自己負担で、一式約6,000円から8,000円で揃える必要があります。衣装の色や種類には規定があるため、事前に確認が必要です。
神輿の上を覗き込まない
神輿は神様を運ぶための乗り物です。
そのため、上から覗き込む行為は神様を見下すことになり、好ましくありません。近年、高層建築からの観覧が増えており、習慣が柔軟になりつつありますが、古いしきたりを大切にする人もいますので、気をつけましょう。
神輿を落とさない
神様を乗せている神輿を落とすことは絶対に避けなければなりません。ただし、地域によっては神輿をぶつけ合う文化がある場合もありますので、その場の習慣に従いましょう。
神輿を上手に担ぐコツ
神輿を上手に担ぐための技術とコツについて説明します。
担ぎ位置の選択
身長が似ている人々の間で担ぐとバランスが取りやすいです。
安全を考えると、外側の位置が適しているかもしれません。そこでは、もし何か起きた場合にすぐに対応できます。
ただし、外側ほど重さを感じることになります。内側は人が少なくなりがちで、空間に余裕が生まれやすいです。人ごみが苦手な人は内側が向いています。
担ぎ棒の持ち方
選んだ肩でしっかりと担ぎ棒を抱え込むことが大切です。
担ぎ棒が肩から滑らないよう、担いでいる手でしっかりと押さえつけます。これは初心者にとっては勇気のいる行動かもしれませんが、正しい方法でないと肩を傷める原因になります。
力強く押し付け、棒を離さないようにすることがポイントです。
膝の使い方
体は担ぎ棒と垂直に保ちつつ、リズムに合わせて膝を使って上下に動きます。
膝を使って神輿の動きに合わせることで、肩への負担を軽減します。この動きを間違えると、肩への負荷が大きくなります。
足の位置
神輿は横揺れが危険です。足はがに股にして、しっかりと地面を踏みしめることが重要です。
呼吸を合わせる
神輿は重く、個々の力ではコントロールしづらいです。
指揮をとる人のリズムに合わせて、周囲と呼吸を合わせます。声を出して高さを調節することも必要です。全員の息が合うと、神輿が軽く感じられ、持ち上げやすくなります。
指揮が不安定だと、担ぎ手は苦労することになります。また、長時間歩くため、クッション性の良い靴を選ぶことが推奨されます。
神輿を担ぐ場合の服装
神輿担ぎにおける伝統的な服装を紹介します。
装いは大きく上半身と下半身にわけて解説します。
上半身の服装
- ダボシャツ
名の示す通り、ゆったりとした作りのシャツで、襟がなく長袖です。このシャツはダボズボンと合わせて着ることが一般的です。袖口は広がっており、ウエスト部分には絞りがないため、涼しく過ごせるため夏の祭りに適しています。
- 鯉口シャツ
これは、腹掛けの下に着る特別な上衣です。ダボシャツと異なり、袖が鯉の口のように細まっているためこの名があります。通常は7分袖で、ウエストラインが細めに作られています。股引と合わせて着用し、シャツの裾は中に入れます。
- 法被(はっぴ)
お祭りでは欠かせない衣装の一つです。多くの場合、お祭りの運営側から提供されることもあります。
- 帯
法被を締めるための帯です。法被とセットで提供されることが多いですが、持参が必要な場合もあります。
- 腹掛け
もともとは大工用の前掛けが起源です。多様な着こなしが可能で、物を入れることもできます。
下半身の服装
- ダボズボン
ダボシャツと合わせて着用しますが、鯉口シャツと異なり、シャツをパンツの中に入れるスタイルは取りません。
- 股引
神輿担ぎにおける下半身の基本的な装いで、種類にはフィットするものからゆったりしたものまであります。主に綿製の男性用インナーとしても用いられます。
- 足袋
神輿を担ぐ際の必需品で、脱げにくく、丈夫な作りが特徴です。安全面でも重要なアイテムです。サイズはcm表記で、慣れるまでは少し大きめを選ぶのが良いでしょう。
- 脚絆
ふくらはぎを保護するために使用されるアイテムで、昔の大工などが怪我防止のために用いていました。お祭りによっては必須アイテムとされ、装いを一層引き立てます。
- ふんどし
積極的に取り入れるには勇気が必要ですが、ふんどしを基本とするお祭りも存在します。一方で、露出が多いため禁止されている場合もあります。
まとめ
神輿を担ぐことには、単に重いものを肩に担ぎ、力を合わせて運ぶという物理的な行為を超えた深い意味が込められています。
古来より、神輿は神様の乗り物として、地域の安全や繁栄、豊作を願う儀式の中心とされてきました。
この記事を通じて、神輿担ぎの起源やその意義、参加するにあたっての心構えや服装、そして担ぎ方のコツについてご紹介しましたが、神輿を担ぐことで、地域社会における絆が深まり、人々の心が一つになる瞬間を実感できるはずです^^