「アンカーのモバイルバッテリーが発火事故で行政指導を受けた」
そんなニュースを見て、不安を感じた人も多いのではないでしょうか?
特に、すでにアンカー製のモバイルバッテリーを使っている人にとって、「自分の製品は大丈夫なのか」「どう確認すればいいのか」は、すぐに知りたい情報です。
この記事では、なぜ行政指導が行われたのか?
どの製品が回収対象なのか?
そして今すぐにできる確認方法や安全対策について、説明していきます。
そもそもモバイルバッテリーの発火事故、なぜ多発しているのか?
モバイルバッテリーには、スマートフォンやパソコンにも使われている「リチウムイオン電池」が入っています。
この電池は非常に便利で、小さなサイズでも多くの電力を蓄えられる優れた仕組みです。
しかし同時に、とても繊細な素材でもあります。
衝撃を受けたり、内部に異物が入り込んだりすると、電池の中で電気が流れる道が壊れて「ショート」という状態を起こすことがあります。
アンカーの事故原因は、まさにこの「異物混入」でした。
製造工程で電極を切断する際に発生した細かな粉じんが内部に入り込み、それが電流の流れを妨げて発熱・発火につながったとされています。
想像してみてください。バッテリーの中は何層にも重なった金属の薄い板でできています。
その間にほんのわずかなゴミが挟まるだけで、電気の通り道が乱れ、火花が出てしまうのです。
こうした事故はアンカーに限らず、品質管理が甘い格安製品でも起こりやすい問題です。
特に海外製の安価なモバイルバッテリーは、検査基準が日本よりも緩いことが多く、ネット通販を中心に粗悪品が流通しています。
経済産業省が行った「行政指導」とは何か?
「行政指導」という言葉を聞くと難しく感じるかもしれません。
簡単に言えば、政府が企業に対して「このままでは危険だから、改善しなさい」と正式に指示を出すことです。
罰金などの罰則はありませんが、企業にとっては非常に重い対応です。
今回のアンカー・ジャパンへの行政指導は、販売事業者としては初のケースです(2025年10月時点の報道)。
これは、国がモバイルバッテリーの安全性を重視し、製品の品質管理強化方針を打ち出したことを意味しています。
「政府が本格的に監督を始めた」というよりも、今後の安全対策を制度的に強化していくための大きな一歩と考えるとよいでしょう。
経済産業省はアンカーに対して、全製品の点検、製造・品質管理体制の報告、そして再発防止策の提出を求めています。
これにより、製品だけでなく生産ライン全体の見直しが求められています。
【最重要】アンカーが自主回収を発表した対象製品リストと概要
アンカー・ジャパンは今回、2022年12月以降に販売されたモバイルバッテリー約41万台と、リチウムイオン電池を内蔵したスピーカー約11万台の自主回収を発表しました。
合わせておよそ52万台という大規模な回収です。
対象製品の多くは「Anker PowerCore」シリーズなどのモバイルバッテリーで、一部の「Soundcore」シリーズ(スピーカー)も含まれています。
製造過程で粉じんが混入した可能性があるため、発火の危険性が否定できないとのことです。
アンカーは2019年以降、8回にわたり自主回収を実施しており、累計の回収対象台数は約100万台に上ります。
これは「不具合が発生した台数」ではなく、「安全確認のために回収対象とされた製品の台数」です。
今回の対応は、消費者安全の観点からリスクを最小限にするための措置といえます。
あなたの製品が回収対象か?すぐにできる簡単な確認方法
まずは、手元のモバイルバッテリーを取り出してください。
次に、製品の裏面や側面をよく見てください。
そこに「A」で始まる英数字の型番が小さく記載されています。これが製品を特定する重要な手がかりです。
その型番を、アンカー・ジャパンの公式サイトにある「自主回収のお知らせ」ページで検索します。
該当する場合は画面に「回収対象」と表示され、手続き方法が案内されます。
確認は公式サイトの回収フォームが基本対応です。
もし型番が擦れて読めない、または購入時の箱を捨ててしまった場合は、アンカーのサポート窓口に電話やメールで問い合わせることもできます。
電話やメールによる確認は補助的手段ですが、外観の特徴や購入情報をもとに照合してもらうことが可能です。
また、購入時期が2022年12月から2024年頃のものであれば、念のためチェックしておくことをおすすめします。
回収対象だった場合、次に何をすべきか?
もし自分の製品が回収対象と判明した場合は、すぐに使用を中止しましょう。
充電をせず、火の気のない安全な場所に保管してください。
アンカー・ジャパンの公式回収フォームに必要事項を入力すると、返送用の梱包材や手順書が送られてきます。
製品を返送すれば、代替品または返金対応を受けることができます。
回収が完了するまでの間は、他のモバイルバッテリーを使用する場合にも、PSEマークの有無やメーカーの信頼性を確認しましょう。
焦らず、確実に安全を優先することが大切です。
今後の安心のために:安全なモバイルバッテリーを選ぶ3つのポイント
今回のニュースをきっかけに、モバイルバッテリーを「安全に選ぶ力」を身につけましょう。
第一に、必ずPSEマークが付いているかを確認してください。
これは日本の安全基準を満たしている証です。
第二に、メーカーの信頼性です。問い合わせ先が明記されているか、長期保証があるかなどを確認することで、トラブル時にも安心です。
第三に、使い方です。長時間の充電放置や高温下での使用、衝撃を与える行為は避けましょう。
さらに、政府は2026年4月からモバイルバッテリーの自主回収とリサイクルを義務化する方針を発表しています。
現時点では法制化の準備段階であり、まだ施行前ですが、今後は安全管理と環境配慮の両面で制度が整備されていく予定です。
焦らずに確認し、安全対策を徹底しましょう
アンカー・ジャパンの行政指導と自主回収は、多くの人に「身近な製品の安全性」を考えるきっかけを与えました。
発火事故は決して他人事ではありません。
しかし、冷静に手順を踏めば、確実にリスクを減らすことができます。
まずは、あなたのモバイルバッテリーの型番を確認しましょう。
もし対象だったとしても、正しい対応を取れば問題は解決します。
そして今後は、安全基準を守り、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが、自分と家族を守る第一歩です。
焦らず、正しく、確実に。
それが、これからの時代の「安心なモバイルライフ」を続けるための最も現実的な方法です。