
「今日は茶碗蒸しを作ってみよう!」
そんな気持ちでキッチンに立ったのに、できあがったのはスプーンが止まることのない「だしスープ」・・・。
「なんで?レシピ通りにやったのに」と、がっかりした経験、ありませんか?
茶碗蒸しは、一見シンプルな料理に見えて、実はとても繊細です。材料も手順も少ない分、ちょっとしたバランスのズレや見落としが仕上がりに直結します。
この記事では、「固まらない」という悩みを持つあなたのために、3つのチェックポイントを、解説していきます。
一度コツをつかめば、ふるふるでやさしい味わいの茶碗蒸しが、あなたの定番メニューになります。
卵が少なすぎると固まらない
茶碗蒸しの決め手は、何といっても卵とだしの相性です。
このバランスが崩れてしまうと、どんなに火を入れても、どれだけ丁寧に作っても、茶碗蒸しは固まりません。
よくあるのが「ヘルシーにしたいからだし多めで」というやり方。
気持ちは分かりますが、だしが多すぎると卵の凝固力が足りなくなり、固まるはずの卵液が半分スープのようになってしまいます。
基本となる比率は「卵1:だし3」。
たとえば、Mサイズの卵2個なら、だしは300mlが目安です。これより極端にだしを増やしてしまうと、火を入れても芯まで固まることはありません。
さらに注意したいのは、卵のサイズ。レシピで「卵2個」と書かれていても、LサイズとSサイズでは卵液の量に大きな差が出ます。
思ったよりだしが多すぎたかも?と感じたら、思いきって卵をもう1個足してみるのも一つの方法です。
茶碗蒸しは、料理の腕前よりも「バランス感覚」が問われる料理。まずはこの黄金比を見直してみてください。
だしと卵をしっかり混ぜないと分離する

材料をそろえて、火加減にも気をつけて。それでもなぜか上と下で状態が違う…そんな場合は「卵とだしの混ぜ方」があやしいかもしれません。
茶碗蒸しの卵液は、なめらかさが命です。
卵白のコシが残ったままだと、蒸している間に液が分かれてしまい、上部は火が通っているのに、下は固まらないという失敗につながります。
混ぜ方のコツは、「泡立てずに、しっかり混ぜる」こと。
泡が立ってしまうと、蒸したときに「す」と呼ばれる穴が入り、見た目も悪くなります。
さらに仕上がりを美しくしたい方には「茶こしでこす」ことをおすすめします。
手間はかかりますが、そのひと手間が、口当たりを劇的に変えます。
丁寧に混ぜて、なめらかな卵液に整えてから器に注げば、すべてがうまく回りはじめます。
蒸し温度が高すぎると失敗しやすい
「火を入れれば固まるはず」と思いがちですが、茶碗蒸しはむしろ、火が強すぎると失敗します。
強火で蒸すと、卵液が急激に加熱され、タンパク質が分離して「ボソボソ」「すだらけ」の仕上がりになってしまいます。
そして、見た目だけでなく、食感も大きく損なわれてしまいます。
理想的なのは「湯気が立ったら弱火〜中火で15〜20分程度」です。
蒸気が均一に伝わり、卵がゆっくりと固まっていくことで、なめらかで美しい茶碗蒸しになります。
蒸し器がない場合は、深めの鍋にお湯を張り、小皿などで底上げして器を置くだけでも代用可能です。
その際も、鍋にフタをして蒸気を逃がさない工夫が大切です。
目安は、竹串を刺して澄んだ液が出るくらい。仕上がりがふるふるとゆれるようなら、大成功です。
電子レンジ調理はワット数と時間に注意
時短の味方、電子レンジ。でも茶碗蒸しに関しては、少しコツが要ります。
というのも、電子レンジは一気に内部を加熱するため、加熱ムラが起きやすく、外側だけ固まって中心が生煮え…という現象がよく起こります。
レンジで作る場合は、「200〜300Wの低出力でじっくり加熱」が鉄則です。
600Wで1分半などという加熱は避け、5〜8分程度かけてじわじわ火を通しましょう。
また、加熱が終わったらすぐに取り出さず、ラップをかけたまま2〜3分放置するのも効果的です。余熱で卵が落ち着き、全体が均一に固まります。
最初は失敗しても大丈夫。繰り返すうちに、あなたのレンジに合った最適な時間が見つかってきます。
具材の入れすぎや大きさにも注意

具だくさんの茶碗蒸し。豪華でおいしそうですが、ちょっと待ってください。
鶏肉やしいたけ、えびなど、水分を多く含む食材をたっぷり入れると、蒸しているうちにだしに余分な水分が出て、卵液が薄まってしまうのです。
また、大きな具材は器内の熱の通りを妨げ、部分的に火が通らないままという失敗につながります。
理想は、小さく切って、全体の1/3くらいにおさえること。
主役はあくまで卵液。具材は引き立て役と考えると、バランスが取りやすくなります。
豪華さを求めるあまり、全体が崩れてしまっては本末転倒です。少なめの具材で、上品な味わいを楽しんでください。
フタやラップで蒸気を逃さない工夫を
蒸し料理において、フタはとても重要な役割を果たします。
茶碗蒸しを蒸すとき、器に何もかぶせずにそのまま加熱していませんか?
それでは、蒸気が直接当たりすぎて表面が乾いたり、すが入ってしまう可能性があります。
器にラップをふんわりかけたり、陶器のフタをかぶせるだけで、蒸気のあたり方がやわらぎ、仕上がりがぐっと安定します。
ラップを使う場合は、密封せず、少し隙間を開けておくのがポイント。蒸気の逃げ道をつくることで、圧がこもりすぎず、やさしい加熱ができます。
ひと手間に感じるかもしれませんが、この工程が完成度を大きく左右します。
冷めても固まらない場合は再加熱も検討

すべて気をつけたのに、やっぱり固まらなかった…。そんなときもあります。
でもあきらめないでください。卵液は、ある程度温度が上がれば固まる性質があります。
もし冷ましてもまだ液体のままなら、再加熱という手があります。
その際は、火加減に特に注意しましょう。
強火はNGです。再加熱はゆっくり、じわじわと。電子レンジなら200Wで数分、蒸し器なら湯気が立ってから中火で様子を見ながら加熱します。
そして、完全に固まらなくても大丈夫です。少しふるふる揺れるくらいで火を止めれば、余熱で中まで整ってくれます。
最後まで手をかけてあげれば、きっとおいしく仕上がります。
まとめ
茶碗蒸しが固まらないとき、失敗の原因はひとつではありません。
卵とだしの比率、混ぜ方、加熱方法、具材の量と配置…。
そのどれかがわずかにずれるだけで、繊細なバランスが崩れてしまうのです。
けれど、逆に言えば、そのバランスさえ整えれば、だれでも簡単に、ふるふるの茶碗蒸しを作ることができます。
「失敗したからもうやめよう」と思うのではなく、「なぜ失敗したのか?」を見直せば、次へのヒントが見えてきます。
手間をかけたぶんだけ、茶碗蒸しは答えてくれる料理です。
ぜひ今回のポイントを試して、あなただけの「最高の茶碗蒸し」を完成させてください。
